脳神経外科

 患者様一人ひとりとの心のつながりを大切にしみなさまにとって最良の治療を目指します

教授の挨拶

この度、本学脳神経外科に脳血管障害、特に未破裂動脈瘤、生まれつきの脳動静脈奇形、脳梗塞、脳の検診なども含めた脳血管障害を中心とした部門設立を目的として新講座及び脳血管ストロークセンターを設立致しました。
また、今まで同様患者さんとの心のつながりを大切にし心の通った脳神経外科の医療を目的にしております。手術後の後遺症、合併症ゼロを目指し、一日も早い社会復帰、日常生活に支障のない体作りの低侵襲手術を目指していきます。
顕微鏡や血管撮影の機器も導入され、より精度の高い、安全な治療をご提供できるものと確信しております。
また教育面では、本講座が学位・研究ならびに国内外からの留学生の受け入れを積極的に行うことで国際交流を含めた若手医師育成の場となればと考えております。
引き続きのご指導、ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます。

教授 加藤 庸子 Yoko Kato

教室の特色

藤田医科大学ばんたね病院脳神経外科は2014年の加藤庸子教授就任以来、脳動脈瘤を中心とした脳神経外科疾患の治療に精力的に取り組んで参りました。現在は皆様のご支援により全国から多数の未破裂脳動脈瘤の患者様が集まる教室に成長し、加藤庸子教授の活躍は多くのテレビ、雑誌等のメディアに取り上げられております。

当教室では全国でも希少な三叉神経痛専門外来を設けております。三叉神経痛の症状は歯痛と似ているため、多くの患者さんが初診で歯科を受診する傾向にありますが、近隣歯科医療機関と連携し三叉神経痛の早期診断を目指しております。治療は内視鏡による体への負担が少ない低侵襲手術にて行われ、診断から治療まで包括的な治療を提供しております。
三叉神経痛専門外来

あらたに2023年より当教室は日本脳神経血管内治療学会研修施設に認定され、血管内治療がもう一つの柱となっております。血管内治療は低侵襲性で、入院期間が短く、回復が早い利点があります。専門的な知識や経験を持った医師が、患者様の症状に合わせた治療を提供しております。

またFujita脳神経外科友の会は当教室の特徴の一つであり、医師、手術後の患者さんが交流を深めるコミュニティです。治療後の健康増進を目的とした講演会、健康講座を開催し、Fujita脳神経外科友の会を通じて皆様からの疑問、質問について気兼ねなくご相談頂いております。

最後に当教室ではアジアを中心とした海外医療機関への教育、支援、国際交流を積極的に行い、これまで国外から300名以上の医師や看護師を受け入れた実績があります。今後も世界の医療水準向上のための支援を継続していきます。

20234月より医局員6名、脳神経外科専属ナースプラクティショナー2名、留学生若干名で臨床、教育、研究に尽力しております。


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診療内容

未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤とは、脳の血管の一部に生じた「こぶ」のようなもので、そのままでは特に症状はありませんが、破裂すると大量に出血して生死に関わるくも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血の8割の原因は未破裂脳動脈瘤の破裂にあると言われています。くも膜下出血の予後は、突然死という最悪の状態を含めて約半数が亡くなり、3分の1の方がハンディキャップを残しての人生となります。それを防ぐためにも、未破裂脳動脈瘤での段階で動脈瘤を治療することが推奨されます。
 ただ、すべての未破裂脳動脈瘤に対して治療を行うわけではなく、まずは経過を観察することもあります。積極的な治療を選択する際は、脳動脈瘤のサイズや形、発生している場所、親族でくも膜下出血を起こした人がいるか(家族歴)、高血圧や喫煙歴の有無などが治療の適応決定に重要なカギとなります。これらに該当する方には手術をお勧めしています。当教室では豊富な未破裂脳動脈瘤の手術経験を有しており、他医療機関より高難度の手術の患者様も多くご紹介頂いております。
 また切らずに治療を行う脳血管内治療にも力を入れております。血管内治療とは、カテーテルを用いて、血管の内側より、病変部を治療する方法です。開頭する必要はなく、局所麻酔もしくは静脈麻酔で可能なため、患者様の身体に対する負担が軽く、高齢者にも施行できる低侵襲治療です。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤にプラチナ製コイルを留置し、動脈瘤への血流を遮断します。
 

三叉神経痛(さんさしんけいつう)

三叉神経痛は顔の片側の下あご、頬に激しい痛みが出現する病気です。強い痛みが瞬間的に起こり、顔を触る、歯を磨く、食べ物を噛むなどの動作で誘発されます。病気の初期には時々痛む程度ですが、進行にするにつれ痛みの程度は強くなり、頻度も多くなってきます。虫歯の痛みにも似ているため、初診で歯科を受診して最終的に三叉神経痛とわかることも多くあります。原因は多くの場合、顔の感覚を司る三叉神経が、脳から分かれて出てくる場所で血管に圧迫されることで起こります。圧迫された三叉神経は興奮状態となり、誤った電気信号を脳に送ることで、実際には顔には何も起きていないのに、脳は顔に激しい痛みが起きていると感じてしまいます。
 三叉神経痛にはテグレトールという特効薬がありますが、強い薬なので、ふらつき、眠気などの副作用があり、時にはひどいアレルギーを起こしてしまうこともあります。また、長期間使用していると効き目が弱くなり、内服量が次第に増えてしまいます。根本的治療は手術であり、神経を圧迫する血管を神経から離すことで症状が改善し、微小血管減圧術と呼ばれます(図1A, B, C)。
 一般に手術は脳の深部で行われ、神経を圧迫する血管は正常構造物の影に隠れていることが多く、視認性が手術成績に大きく影響します。神経内視鏡手術では優れた視認性を活かし、小開頭(キーホール)から深部に隠れた責任血管を正確に同定することが可能であり、体への負担が少ない低侵襲手術を行うことで治療成績向上に役立っています。脳神経外科の新しい手術手技であり、当院では三叉神経痛手術に積極的に内視鏡技術を取り入れております。
三叉神経痛専門外来

片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)

片側顔面痙攣は顔の片方の筋肉が自分の意思とは無関係にピクピクと動く病気です。初期の段階では目の周りのぴくつきから始まり、進行に伴い徐々に頬、口の周りに症状が広がります。更に進行すると目は閉じ続け、顔はつっぱったままになります。これらの症状は特にストレスや緊張などで誘発され、人と話をする時などにも多く出現します。一般的にはこの病気はほとんど知られておらず、医療従事者の中でも認知度が低いため、病院を受診しても正しく診断されずに長期間お困りになる方も少なくありません。
 原因はほとんどの場合、頭の中で顔の筋肉の動きを司る顔面神経という神経が、脳から分かれて出てくる場所で血管により圧迫されることで起こります。圧迫された顔面神経は興奮状態となり、誤った電気信号を顔の筋肉に送り続けるため、顔の筋肉が勝手に動いてしまいます。
 治療としては、ボトックスという筋肉を麻痺させる薬を直接顔に注射させる方法がありますが、薬の効果が切れれば症状は再現します。内服薬も有効なものはありません。根本的に治療するには手術で顔面神経への血管による圧迫を解除する必要があります。
 この手術は微小血管減圧術と呼ばれ、手術法を開発した先生の名前にちなみ、ジャネッタの手術とも呼ばれます (図2 A, B, C)。手術には高度な技術と熟練を必要とします。当院では片側顔面痙攣への微小血管減圧術に内視鏡技術を取り入れております。内視鏡は直径4mmの小さなカメラで、内視鏡を脳の深部まで入れることで、隠れている部位も様々な角度から観察することができ、病状をより正確に把握することができます。これにより手術の安全性、成功率の向上や低侵襲性(手術による体の負担を軽減すること)に役立っています。

正常圧水頭症

高齢者によく見られる物忘れの多くが認知症と診断されておりますが、物忘れに歩行障害、失禁を伴った正常圧水頭症という疾患があります。脳の内外を循環する脳脊髄液という液体が脳内に貯まることで発症し、脳内の脳脊髄液を脳外へ流出させるシャント手術にて、症状の改善が得られます。 

脳腫瘍

脳腫瘍全般の治療を行います。特に、聴神経腫瘍や髄膜腫といった良性脳腫瘍の手術を多く手がけています。良性脳腫瘍は、全部摘出できれば手術で根治する事が可能ですが、頭蓋内の深部に発生することが多く、頭蓋底手術という高難度の手術テクニックが必要です。当院では、超音波メスや、ニューロナビゲーションシステム、術中神経モニタリングを用い、腫瘍に隣接した脳幹や、脳神経を傷つけることなく、腫瘍の摘出を行います。ニューロナビゲーションシステムとは、カーナビと同様に、術前の患者さんの頭部MRIを地図として、手術の進行状況や腫瘍と正常脳組織との位置関係をモニターに示してくれることにより安全な手術を支援してくれるシステムです。

脊椎・脊髄疾患

手のしびれや筋力低下の原因となる変形性頸椎症・頸椎椎間板ヘルニアや、足のしびれや坐骨神経痛の原因となる腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアの手術を行います。手術顕微鏡下に、椎間板や骨棘を摘出し、脊髄・神経の圧迫を取り除きます。頸椎疾患の場合、チタン製ケージや人工骨スペーサーを用いて固定を行い、手術後早期より歩行が可能です。

漢方外来

 皆様方は、「漢方」と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか?
「じっくり何か月も飲むと効いてくる」、「自然の生薬なので副作用もないが、効き目もじんわり穏やか」などでしょうか。
脳神経外科のご病気に限らず、現在お悩みの症状からは少しでも、そして一日も早く楽になりたいと願うのが、患者様の当然の願いです。ばんたね病院脳神経外科の漢方外来では、皆様のその願いを実現するべく、お手伝いをさせていただく所存です。
 

スタッフ紹介

教授
  • 加藤 庸子


    【専門分野】
    くも膜下出血、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳血管・ストロークセンター及び当科で行う治療・手術全般の統括指導
    【認定資格等】
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本脳神経外科学会認定医、日本脳卒中学会脳卒中専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医、臨床修練指導医、国際神経内視鏡連盟公認ハンズオン・インストラクター、日本人間ドック学会認定医、日本脳卒中の外科学会技術指導医

准教授
  • 小松 文成


    【専門分野】
    神経内視鏡手術、三叉神経痛、片側顔面けいれん、良性脳腫瘍、脳出血、水頭症
    【認定資格等】
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医、日本脳卒中学会専門医

  • 山田 康博


    【専門分野】
    脳動脈瘤、脳動静脈奇形
    【認定資格等】
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本脳卒中学会脳卒中専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医、日本脳卒中の外科学会技術認定医、日本脳卒中学会指導医、日本認知症学会専門医、臨床研修指導医

  • 田村 貴光


    【専門分野】
    脳神経血管内治療頭蓋底外科
    【認定資格等】
    日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会認定指導医、日本神経内視鏡学会技術認定医

助教
  • 田中 里樹

    【専門分野】
    血管障害、脳動脈瘤、水頭症
    【認定資格等】
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本脳卒中の外科学会技術認定医
    日本脳卒中学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医
    日本脳神経血管内治療学会 脳血栓回収実施医

助手
  • 佐々木 建人


    【専門分野】
    脳神経外科一般

客員教授
  • 佐野 公俊

    【専門分野】
    脳血管障害

  • 高木 清

    【専門分野】
    正常圧水頭症(NPH)、軽度外傷性脳損傷

  • 瀧澤 克己

    【専門分野】
    脳血管障害手術(脳動脈瘤手術・バイパス手術・内膜剥離術)、頭蓋底腫瘍

診療看護師
  • 大久保 麻衣


    日本NP教育大学院協議会認定診療看護師(NP)
    看護師特定行為研修21区分38行為修了
    周術期管理チームナース

  • 片山 朋佳


    日本NP教育大学院協議会認定診療看護師(NP)
    看護師特定行為研修21区分38行為修了
    3学会合同呼吸療法認定士